口の中を清潔に保ったり、のみ込む力を鍛えたりする「口腔(こうくう)ケア・嚥下(えんげ)リハビリ」が、高齢者の肺炎予防などに効果があると注目されてきています。歯科医の間で、口腔ケアや嚥下を重視した訪問診療を広げる動きも強まり、11月には全国組織が発足しました。(読売新聞針原陽子)

 口腔ケアを行えば、細菌の多い唾液(だえき)などが気管に入って起こる「誤嚥性肺炎」の発症率が、ケアをしない人の半分以下に減ることがわかってきています。また食べることで栄養状態や意欲が向上することも知られています。

このようなことを踏まえて2008年4月に「在宅療養支援歯科診療所」が設けられました。在宅で療養する人を24時間体制で支えるもので、診療報酬でも、75歳以上の患者を訪問したら月1回は算定できる管理料などが認められています。それに加え、訪問診療に力を入れる開業医と、大学や病院の歯科医の有志が今年11月、「全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会」を発足させました。

 これからは高齢化によって要介護状態で自宅や施設で長く暮らす人はますます増えていきます。歯科の訪問をもっと増やす必要性も、さまざまな現場で議論されていくのではないでしょうか。