メタルフリー治療の意義は、”白くて見た目がキレイ”という審美面だけではなく、金属アレルギーや身体の健康にも配慮されているという点にあります。
保健が適用される銀色のかぶせ物やつめ物の材料となる”アマルガム”、”パラジウム合金”は、身体にとって有害な物質です。
アマルガム合金はようやく保険治療でも禁止されましたが、それは水銀合金であったため、水銀が流出して体内に取り込まれることで、神経毒となるためです。一方で、いまだに銀歯にはパラジウム合金が使用されています。パラジウムはEU諸国、特にドイツでは数年前から人体に有害とされ、小児や妊婦には使用しないように法律で禁止されています。
金属は24Kゴールドなら酸化しませんが、材質が柔らかすぎるため、現在では一部のつめものに使用する程度です。かぶせ物にする場合は、”カラットメタル”という銅や銀、亜鉛、パラジウムなどを混ぜて、20Kくらいに純度を下げて硬くしてから使用しています。つまりゴールドのかぶせものでも100%ゴールドではないのです。
また、銀は酸化(錆びる)するため、はじめはガラスのようにツルツルしていても、半年くらいで酸化しはじめ表面にスポンジ状の穴があき、物理的にモノがたまりやすくなります。細菌のかたまりである”プラーク”や”歯石”が付着しやすいため、二次カリエスや歯周組織に炎症が起こりやすくなります。
その細菌からエンドトキシン(内毒素)が分泌され、自分の身体の免疫機能が低下し、インフルエンザや風邪をひきやすくなります。近年ではその内毒素が血液中に入り込み、血管系を傷つけ、動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、その他多くの全身疾患を起こすことがわかってきました。
金属アレルギーは”遅延型アレルギー”といって、薬品や青魚などによるものと違い、スグに症状が出ないため、原因が特定されにくいアレルギーです。
金属アレルギーが起こるプロセス
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治療で金属のかぶせ物やつめ物をする。
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金属が唾液によって溶け出す。
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溶けた金属がイオン化して体内へ入る。
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体内のタンパク質と結合して”アレルゲン”(アレルギーの元)になる。
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アレルゲンに対する抗体ができる。
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その抗体がアレルゲンに対して過剰に反応し、”IgE”(アレルギー体質の強さを数値化したもの)が上がる。
金属アレルギーを起こす原因は『金属』ではなく『金属イオン』です。歯科の保険治療には、その『金属イオン』を発生させやすい金属がよく使用されています。
金属イオンを発生する度合い
危険度 | 大 | 中 | 小 | ほぼゼロ | メタルフリー | 金属名 | ニッケル クロム コバルト アマルガム(水銀) |
アルミニウム 亜鉛 パラジウム 銀合金 |
プラチナ ゴールド などの貴金属 |
チタン | セラミック |
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もし、金属アレルギーになってしまった場合は、皮膚科などでパッチテストや血液検査(リンパ球刺激試験)を行ないアレルギーの原因となる金属を特定し、除去する必要があります。
金属を使用しないメタルフリー治療には、酸化アルミナや二ケイ酸リチウムなど色々ありますが、当院ではより、以下のようなメリットが多い『酸化ジルコニウム(ZrO2)』をおすすめしています。長期にわたって安定した素材のため、岡本歯科医院では10年保証にしております。
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ジルコニアには歯垢(プラーク)が付着しにくいという特徴があり、清掃性も高いため、清潔に保つことができます。
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ジルコニアはセラミックの中でも、非常に硬い素材で、ダイヤモンドの代用品として刃物や工具などにも使われます。特に強度の必要な奥歯にも最適です。
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ジルコニアは非常に安定した素材で、熱いものを食べたり、冷たいものを飲んだりと環境の変化が激しい口腔内でも劣化したり変色したりしません。
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ジルコニアは生体親和性が高く、人工関節などにも使用されている素材です。金属ではありませんので、金属アレルギーの心配もなく身体に優しい素材です。
ジルコニア(モノコック)クラウン(パールクラウン)
コンピューター制御の機械により、ジルコニアのブロックから歯牙のカタチを削り出します。金属を一切使用しませんので、歯ぐきの変色や金属アレルギーの心配もありません。強度も比較的強いので、奥歯やブリッジにも適用できます。
ジルコニアフレームのレアリングタイプには多少劣るものの、美しく仕上がります。ただし、オールセラミックよりも選択できる色調が少なく、透明感も少ないため奥歯のほうが適しています。
ジルコニアフレームレアリングタイプ
歯牙全体がセラミック(陶器)でできたクラウン(かぶせ物)です。見た目の仕上がりの美しさは最高の素材です。
機械で行なう削り出しジルコニアとは違い、歯科技工士があなたの歯に合わせて正確に仕上げますので、より精度の高いものとなります。また、当院では元の歯の光の透過率まで考え、その都度、最適な材料で作製するフルオーダーメイドです。
オールセラミックは、その名の通り、材質にセラミック(陶器)だけが使われている歯のかぶせ物のことです。
オールセラミックのクラウンやブリッジの値段や見た目が色々違うのは、セラミックの種類が一つではないためです。
また、セラミックの種類は同じでも、より上質な材料を使用しているものから、リーズナブルな材料を使用しているものまであります。
金属フレーム付のセラミックは、オールセラミック、メタルフリーではありません。
また、ハイブリッド系のセラミックというのも、正しくはセラミックではありません。
セラミックの種類で、現在臨床で多く使われているものは、以下の3種類になります。
- ジルコニア(ZrO2) Lava/セルコン/カタナZENO など
- 二ケイ酸リチウム(Li2O5Si2) e-MAX など
- 酸化アルミナ(Al2O3) 松岡ビンテージ/ノリタケ/デュセラ など
時代の流れとしては、「酸化アルミナ」→「二ケイ酸リチウム」→「ジルコニア」という流れになっています。
以前のジルコニアはチョークのように白く不透明でしたが、現在、SHT(スーパーハイトランス)タイプもできており、ジルコニアモノコック(単体)でも審美的に評価できるものとなってきました。
一番の利点は、審美的に良いこと以上に、生体に優しく、丈夫で、密度が高く(6.06g/cm3)汚れがほとんど付着しないということです。
見た目の審美性を重視される方で、同じように”白い素材”のメタルボンドとオールセラミックがどのように違うのかが気になる方も多いのではないでしょうか。
メタルボンドは金属の上にセラミックを焼付けたクラウン(被せ物)となります。見える部分にはセラミックを焼付けますので、見た目は自然な色調になります。比較的にリーズナブルに見た目を修復することができます。
ただし、金属を隠すためにセラミックが分厚くなるので、歯をたくさん削らなければなりません。また、金属の影響で歯肉の変色があったり、裏側からだと金属が見えてしまうというデメリットもあります。
見た目(審美性) | メタルフリー | 清掃性 | |
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保険適用素材 | × | × | × |
メタルボンド | 〇 | × | △ |
オールセラミック | ◎ | ◎ | ◎ |
最長10年の保証制度で治療後も安心!
当院では審美歯科治療の補償制度を設けております。期間は最長10年ですので、審美歯科治療後も安心していただけます。
治療後、補償の対象箇所に不具合や破損などが起きた場合、当院の負担で修復いたします。ただし、当院でのメンテナンスに継続的にお越しいただくことが条件となります。
詳しくは初診相談時にご確認下さい。
事故、スポーツ外傷は適応外となります。
メンテナンス・プログラムで最高のコンディションを維持
せっかく手に入れたキレイな歯もメンテナンスを怠ってしまっては、最高のコンディションを維持することができません。
当院では審美歯科治療後の状態を維持するためのメンテナンス・プログラムをご用意しております。2~6ヶ月ごとにSPT(Supportive Periodental Therapy【歯周維持療法】)、歯石・プラーク・バイオフィルムの除去を行います。