洗口液(うがい薬)の上手な使い方
口腔内慢性感染症と生活習慣病と高齢者
歯槽膿漏などの口腔慢性感染症が、誤嚥性肺炎、心疾患、糖尿病などのメタボリックシンドロームの引き金になるといわれている事をご存知ですか?
口腔内慢性感染が疑われる場合、2次的に循環障害、腎炎、関節炎、アレルギー、皮膚炎や妊娠トラブルなどにも関与する事いわれているため、高齢者を中心に口腔内慢性感染症の制御の重要性が重視されています。
現在8020運動が定着し、その成果が健康長寿に貢献していますが歯周病の罹患率は高いままです。日本の死亡原因の第3位である肺炎の大部分を占める、誤嚥性肺炎の主な病原体は複数菌種の歯周病減細菌であると言われています。
そして肺炎の多くは唾液、歯肉溝液を主な栄養源にして増殖する口腔内細菌が、就寝中などに下気道に流れ込むことが原因の不敬性誤嚥であると言われています。
高齢者にとって就寝前の抗菌性洗口液の使用は、副作用もなく簡単にでき、誤嚥性肺炎予防などに効果がある可能性が高いといわれており、消毒効果のある抗菌性洗口剤を使用することで、耐性菌を出現させることもなく、腸内フローラを乱すこともなく、口腔内感染症のリスクを低下させると言われています。
洗口液の選び方
近年、市販のものを含めたくさんの洗口剤があります。
抗菌性洗口剤は陽イオン性と非イオン性があります。
陽イオン性には、CHX(グルコン酸クロルヘキシジン)・CPC(塩化セチルピリジニウム)があり、デンタルプラーク形成を抑制すると言われています。その一方で歯面やデンタルプラークとイオン結合し沈着するため、着色をもたらすことがあります。
非イオン系には、イソジン液・ネオイソジン液・エッセンシャルオイル含有のリステリン・イソプロメチルフェノール(IPMP)・イルガサンDP300があり、バイオフィルム細菌集団にある程度浸透性を発揮して短時間内に殺菌効果を発揮すると言われています。
その中でも、ポピヨンドール液は殺菌性だけでなく高いウイルス不活化作用があり感染予防に有効であると言われています。
リステリン液も短時間に口腔内細菌を殺菌し、HIVやヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスを不活化すると言われています。またリステリンは短時間に抗菌性を発揮してう蝕予防に有効であるため矯正治療中などの患者さんにも効果的であり、インプラント治療のメインテナンスでも効果がある為インプラント周囲炎予防にも有効であると言われています。